和英翻訳 (ネイティブ vs ノンネイティブ vs 自動翻訳)– 調査の目的と概要

 2018年5月~7月にかけて、ネイティブ添削で学ぶ英文ライティング英語便にて、ビジネス文書の和英翻訳サーベイを実施しました。当記事では調査の目的と概要をまとめています。結果と考察、詳細は後続記事に記載しています。

1.調査の経緯と目的

 翻訳作業においては、一般的にターゲット言語を第一外国語とする人の翻訳が最も優れているという考えがあると思います。しかし、和英翻訳のビジネス現場では、複雑な日本語を読める英語ネイティブスピーカーの数が業務量に対して少なく、翻訳会社や企業翻訳部門は多くの課題を抱えているといえます。もちろん優秀な日本人翻訳者が活躍している現場もありますが、多くの現場では翻訳文の妥当性を最終チェックできる人が少ないという現状です。観光地では通じない英語案内がたびたび見られ、海外では品質の低い英文で書かれた製品パンフレットなどが配布されていることも多くあります。英語便では、これまで翻訳業者の方々からのネイティブチェックとの組み合わせや、企業様からの自動翻訳の妥当性について数多くのご相談を受けてきました。 

 今回の調査では、まずは現状把握のため、ビジネス文書の和英翻訳作業について、① 日本語ネイティブ翻訳者の英文がどこまで海外で通用するか(英語ネイティブ翻訳者との比較)② 自動翻訳はどこまで使えるか という2点に絞って検証を行いました。

2.調査方法と参加者について

 参加者へは、(全部で5ジャンル(実質10種類))からランダムに割当てられたビジネス関連の日本語文章の1つを30分でできるところまで和英翻訳していただき、手法や、難しい点、また経歴などのアンケートへ記入をお願いしました。

サーベイ参加者の内訳と人数
日本語ネイティブスピーカー・一般部門(ビジネス経験あり)15名
日本語ネイティブスピーカー・一般部門(ビジネス経験なし)15名
日本語ネイティブスピーカー・プロ部門   15名

英語ネイティブスピーカー・一般部門(ビジネス経験あり)15名
英語ネイティブスピーカー・一般部門(ビジネス経験なし)8名 
英語ネイティブスピーカー・プロ部門  10名 

ノンネイティブスピーカー部門 3名

※ プロ部門は、翻訳会社、または企業の翻訳部門勤務、またはフリーランス翻訳者
※ 英語ネイティブスピーカーについては応募人数が一部募集数に及ばなかったため、一部の調査は母数を減らして実施
※ ノンネイティブスピーカー部門には、第一外国語が、ヒンディー語(インド)、中国語(中国)、タガログ語(フィリピン)の方にご応募いただいた。今回はご参加人数が少数であったため、統計データからは除外

文書の種類

 調査に利用した日本語文は全部で20種類、いずれの文書も英語便で添削提出の多い以下の5カテゴリに絞って調査を行いました。

(A) Eメール
(B) 告知・ご案内
(C) 取り扱い説明・操作ガイド
(D) 商品説明・広告
(E) 契約書・伝票類

サーベイの結果ついては後続記事で順次公開していきます。
(1) 傾向とそれぞれの課題(2018/9/30公開)