辞書を引いて英訳した単語が、海外では異なって解釈されていることがよくあります。当シリーズでは英語、日本語両方を熟知し、多数の英語書籍を出版しているデイビッド・セインさんが言葉の意味や用法、また文化背景について解説します。
第12回は「忌憚なく」の英語表現を解説します。 |
いよいよ新年度の始まりです。新しく社会人になる方、またビジネスで英語を使う方のために「英訳に一手間必要な」ビジネス表現の英訳を紹介しましょう!
辞書にあるフレーズから一歩踏み込んで、私(デイビッド・セイン)が実際に日本でやりとりする際に疑問に思ったこと、また日本人によく聞かれる質問から選りすぐってご紹介しようと思います。
「これを英語では何て言うの?」という質問がありましたら、ぜひお寄せください!
「忌憚(きたん)なく」を英語にすると?
遠慮することなく物事を言ってもらいたい時に「忌憚なくお話しください」などと言いますが、これを英語にする場合どのように表現すればいいでしょうか?
学生さんはもちろん、日常生活ではまず使わない言葉ですが、ビジネスシーンでは頻繁に耳に(メールでも目に)する言葉です。
英語でももちろん同様の表現があり、打合せの場やメールの末尾などでよく使われます。
「率直に話をする」と考えてtalk straightforward、「遠慮なく話をする」ならばspeak without reserveなどと訳してもいいでしょう。
「忌憚」という漢字の難しさにひるんでしまうかもしれませんが、意味を考えれば比較的簡単に英訳できます。
「忌憚なくご意見ください」を英訳する場合、どのように言えばいいでしょうか?
Tell me what you really think.
本当に考えていることをおっしゃってください。
I’d like to know what’s really on your mind.
お心にあることを教えてください。
I need your honest opinion.
(正直な意見がほしんです)
Could you tell me what you really think?
本当に考えていることを教えてもらえますか?
目上の人に対してであれば、「考えていらっしゃることを率直におっしゃってください」と解釈し、このように表現すれば問題ありません。
では同じような言葉を部下にかける場合、どう言えばいいでしょうか?
このような時、ネイティブはよく「ちょっとひねった表現」を使います。
Don’t tell me what you think I want to hear.
私を喜ばせるようなことは言うな。=> 私が嫌がることでも遠慮なく言ってくれ。
Tell me what you really think. I don’t need any yes men.
(本当に思っていることを言ってくれ。イエスマンはいらない)
こんなことをサラッと言えれば、部下から間違いなく信頼されます。
職場では、忖度することなくストレートに意見を言い合える関係を築きたいものですね。