辞書を引いて英訳した単語が、海外では異なって解釈されていることがよくあります。当シリーズでは英語、日本語両方を熟知し、多数の英語書籍を出版しているデイビッド・セインさんが言葉の意味や用法、また文化背景について解説します。
第26回は新元号「令和」に関する表現の第2弾をおとどけします。 |
しばらく元号や天皇制に関する話題が続きました。皇位継承をリアルタイムで経験するのは、そうないことだと思います。
この機会を逃してはいけないと、私もここぞとばかりに日本の歴史を勉強し、真摯に日本の歴史や文化の英訳につとめてきました(こういう機会がないと、そうなかなか勉強する機会はないですからね)。
「令和で最初の…」は英語で何と言う?
今年に入ってから「平成最後の…」をやたらと耳にしましたが、5月に入ってからは一気に「令和初の…」に切り替わったようです。
以前「平成最後の…」も英訳しましたが、「令和で最初の…」はどのように英訳すればいいでしょうか?
これはシンプルに、
The first … of the Reiwa Period.
と表現すれば通じます。では問題です。
「彼女が大手企業と契約したのは、令和で最初のシンデレラストーリーだ」
は、どのように英訳すればいいでしょうか?(ちなみに、私が最初に「令和で最初の…」を聞いたのは、アイドルの移籍騒ぎに関連したこのようなフレーズでした)
私なら次のように表現します。
She got a contract with a big company, and that made her the first Cinderella story of the Reiwa Period.
使役動詞のmakeを使うのがポイントです。
「彼女が大手企業と契約したことが、彼女を令和で最初のシンデレラストーリーにした」と言い換えて英訳するといいでしょう。
ちなみにCinderella storyは英語でそのまま使われており、「玉の輿に乗る、成り上がる」といった意味になります。時代が変わっても、シンデレラストーリーは不滅ですね。