ロバート・ヒルキ氏インタビュー 4.英語のフォーマル度

 第4章からは2017年4月5日にネイティブ添削で学ぶ英文ライティング – 英語便が行ったロバート・ヒルキ氏インタビューの後半になります。インタビューの後半では、2015年の英語便メンバーアンケート「英文ライティングで最も難しいと感じること」にて挙がったいくつかの項目についてディスカッション形式でご意見をお伺いしました。

Prev →ロバート・ヒルキ氏インタビュー – 3.日本人と英語学習

 Q. 英文ライティングにおいては、文法やボキャブラリーと共に、文章の一貫性、明瞭性など様々な要素が必要だと思います。2015年の英語便メンバーアンケートでは、英文ライティングにおいて最も難しいと感じることに、英語のフォーマル度(Eメールで大学教授に対してHello Bob, と書いて大丈夫か?など)と英語のロジック(結論が先で理由を後から続ける)が主に挙がっていました。この点になにかご意見、またはアドバイスはありますか?


4. 英文ライティングの難しさ – フォーマル度

=> 当インタビューの英文スクリプトがこちらからご覧いただけます。

 英語のフォーマル度に関しては、私たちが開発したマップ(※1)の1つに、”appearance of equality”(外見の平等)(※2)と”appearance of inequality”(外見の不平等)(※3)というものがあります。、”appearance of equality“(外見の平等)は相手と平等ではなくても「同じレベルだというふりをする」というものさしです。これは、円滑な関係を築くための一種の社会の潤滑油で、おたがいをファーストネームで呼びます。もしかすると、ポケットに手を入れたままで動き回りジョークを言います。もう一つは、”appearance of inequality”(外見の不平等)です。尊敬を表すために、人と人とのギャップを大げさに表現することです。例えば日本では、あなたが初めて会った誰かから名刺を受け取ったとします。名刺をよくみると「専務」と書かれていました。そして、尊敬を示すためにあなたのお辞儀が10度から45度に変わるといったようなことです。

※1 マップ — ヒルキ先生が、異文化コミュニケーションセミナーにおいて、自分の立ち位置と相手との位置関係を理解するために使うナビゲーションツール
※2 appearance of equality — 実際には平等でない相手に対し平等であるふりをすること(西洋方式)
※3 appearance of inequality — 平等でない相手に対し、差を表立って表現すること(日本方式)

 ライティングに関しては、あなたが例えばアメリカや、オーストラリア、ニュージーランド出身の人に対して書くときは、ファーストネームを書く傾向があります。例えば Dear Kaneko-san, ではなく、Dear Yasu, と書くわけです。ただし、私のアドバイスは、はじめは少々フォーマルに書くということです。そして、徐々にフォーマル度を落とす(カジュアルに近づける)わけです。反対は、難しいところがあります。第一印象を悪くしてしまったら、挽回することは難しいからです。数年前の良い例があります。ビル・ゲイツが韓国を訪れて、その時の大統領に会いました。そして左手をポケットに入れたまま握手したのです。典型的な”appearance of equality“(外見の平等)である行動です。フレンドリーな関係でリラックスしているときは、西洋人がしばしば行う行動です。しかし、韓国ニュースの一面に、「ビル・ゲイツが韓国大統領を見下している」という意味の記事が掲載されてしまいました。また、別の例で薬品関連の大企業でグローバルファイナンスのトップはアメリカ人でした。彼は日本に来ました。そして四半期に、社員全員に対してプレゼンテーションを行いましたが、プレゼンテーションの最中、机の上に座っていました。アメリカではこれは心地よく、通常行うことなのですが、彼は日本人に対して悪い第一印象を与えてしまいました。

 そういうわけで、常に少々フォーマルであるべきです。実質的なアドバイスは、相手がどう自分の名前を書いてくるのか見るということです。例えば彼女がファーストネームで最後に自分の名前を書いていたら、それはあなたもファーストネームで呼びかけるべき強いサインといえます。しかし、彼女がファミリーネームで書いてきたら、少々フォーマルに書くべきです。それが私にできるアドバイスです。その人を本当によく知っていない限り、私も最初のメールで“Hello Bob”とは言いません。しかし、返信で”Bob”と最後に書かれていたら、(相手が目上であっても大学教授であっても)次は”Hello Bob,” と書くわけです。

Next →ロバート・ヒルキ氏インタビュー – 5.英語のロジック

フォローする

コメントの入力は終了しました。