100 word short storiesの書き方

  英語便では2024年4月~5月にかけて「100 word story contest」を開催しています。100 word storyは、わずか100語で印象的な短編ストーリーを執筆するというもので、英語圏では人気があります。

 「100ワード」と聞くと、語数が少ないという印象があると思いますが、意外とストーリーをまとめることができます。いきなり「500ワードの小説を書いてみましょう」と言われると「無理です!」と思ってしまう方でも100ワードであれば「なんかできそう」と思えるのではないでしょうか? 皆さんにとって、100ワードストーリーを書くことが、何か興味深いものを創り出す機会となるとともに、執筆の過程で何かの学びがあることを期待しています。

説明する女性 100 word storyはDrabbleという名称で呼ばれることもあります。辞書には以下のように記載されています。
Drabble, noun; a story made up of exactly 100 words, no more, no less.

ストーリーのアイデアを考える

 まずはストーリーのアイデアを固めます。アイデアを考えるにあたり、まずネットで既存作品を検索してみるとイメージが湧きやすいと思います。
 検索エンジンで「100 word short stories」と検索してみてください。多くのサイトと作品が出てきます。すべてが素晴らしい作品とは限りませんが、多くの作品例を見つけることができるでしょう。

 また、自分のストーリーを作成するにあたり、完全に新しいものを想像することが難しいときは、実際の状況や経験をもとに、それに変更を加えると簡単です。例えば、あるお店をストーリーに登場させる場合、自分が知っている店にもとづいて、その店の要素の一部を変えて説明していくと書きやすくなります。

ストーリーの展開を考える

 自分自身でストーリー展開を考えることも大切ですが、慣れていない方は、以下の枠組みを活用してみましょう。

殆どの小説が以下のようなLabovのナラティブ構造の要素を含んでいます。

Abstract – 概要(どのように物語が始まるのか)

Orientation – 方向づけ(誰が関与し、いつ/どこで物語が起こるのか)、

Complicating action – 複雑化する行為(何が問題/困難/謎等を生み出したのか)

Resolution – 解決(最後に何が起こるのか-問題は解決したのか)

Evaluation – 評価(書き手はどう感じているのか)

Coda – 終結(今の生活とどのようにリンクしているのか/物語の後の生活にどのような影響を与えたのか)

すべての物語にこれらの要素があるということではなく、多くのストーリーのヒントになっているということです。以下、1つのストーリーを使って例を挙げます。

サンプル引用:The Choice by Lisa M. Scuderi-Burkimsher
(from https://entropy2.com/blogs/100words/)
 

Abstruct – 概要 : 戦闘中の飛行機について述べ、語り手が操縦していることがわかります。
When the bombs exploded, I veered the plane sideways.

Orientation – 方向付け : 飛行機内には他に人がいて、特定の場所に到達しようとしていることがわかります。彼らが軍隊または類似の組織にいると推測できます。
My men yelled we should vacate, but I had to make the destination point.

Complicating action – 複雑化する行為 : 彼は飛び降りなければならなくなりました。そして爆発音を聞きます。
As the men jumped one by one until I was the only one left, shots hit the fuel tank, and I had no choice. I said a prayer, left my station and vaulted out into the sky. In the distance, I heard an explosion and flames filled the air.

Resolution – 解決 : 彼は着地しましたが、あることに気づく… それは敵地でした。
I heaved a sigh of relief when I landed safely on solid ground, until footsteps approached, and guns were aimed at my chest. I landed on enemy territory.

長めに書いて、少しづつ削る

 まずは長さを意識せず思うままに物語を書いてみましょう。まず200語くらいで物語を書き、次に150語、100語にと減らしながら編集すると有効です。

言葉を調整する

 一度物語を書いたあと、言葉の時制やフォームなどをいろいろ変化させてみることは効果的なストーリーを書くうえで重要です。

 例えば多くの物語では過去形を使用しています。上記で提示したの物語でもyelled/exploded/heardという過去形を使っています。しかし、過去の出来事であっても、現在形を使うことでより臨場感を出す効果が出ることがあります。

例文で見てみましょう。以下のセンテンスは過去の出来事を現在形を使って記述しています。

The Man in the Bar
A man walks into a bar and asks the barman for a glass of water. The barman pulls out a gun and points it at the man. The man says “Thank you” and walks out.

 男がバーで水を頼みました。ところがバーテンダが銃を取り出し男へ向けました。男はお礼を言って去っていった(男はしゃっくりが出たので水を頼んだのですが、バーテンダーが拳銃を取り出したので驚いてしゃっくりが止まったというオチの話です)
 ここでは、現在形(例:walks, ask, points)を使うことにより、物語がより直接的になり、読み手の興味を惹きつけるという、過去形とは異なる効果を生み出していることに注意してください。

パラフレーズやコロケーションを学習する

 限られた語のストーリーを書くとき、語彙力はもちろん、パラフレーズの技術、正しいコロケーションの理解が必要です。

 コロケーションとは、strong coffee、have fun、work hardのように一緒に使われる単語の組み合わせ(名詞+名詞、形容詞+名詞、動詞+名詞、動詞+副詞)のことです。※ コロケーションは言語によって異なる場合があります。例えば、英語では have a partyがコロケーションの標準ですが、スペイン語ではmake a partyと言います

添削やツールを学習へ活用する

 100 word stortを実際に書いてみると、自分の苦手なことを発見し「もう少し学習したい」という項目が出てくると思います。語彙力向上には日々の積み重ねが重要ですが、スタンダードコースの「チャレンジフレーズ(ライティングに特定のフレーズを含めて書く機能)」を使って文章を書いてみる練習も有効です。パラフレーズは、同じくスタンダードコースのライティングツールのパラフレーズコーナーで練習することができます。また、英検1級、準1級のサマリー問題にチャレンジしてみることも有効です。

 そして、正しいコロケーションの学習には辞書の活用が必須です。コロケーション専用辞書をお持ちの方はぜひ活用してください。持っていない方でも、無料のオンライン辞書などでたくさんの例文を読むことでコロケーションの学習はできると思います。

 そして出来上がった物語を添削でチェックしてみましょう。講師がより適切な言い回しや効果的なフレーズなどをアドバイスしてくれると思います。パラフレーズで迷ったときは、QA掲示板を活用して「〇〇という言い回しを×ワードで表現するには?」のような質問を投稿して講師のアドバイスを得ることも可能です。




英語便スタンダードコース100 word story コンテストのご提出期間は2024/4/25 – 2024/5/25です。みなさまのご応募お待ちしております。
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