“As if” は、「あたかも~かのように」、「まるで~するかのように」という意味で、本当と思えないことや信じがたいことが起きているシーンでよく使われます。当記事では、学習者からよく質問のある構文 as if ~ingとas if to ~の使い分け、および、as if + S + V構文においての時制の使い方を解説します。
as if ~ing (自然発生) と as if to ~ (意図的)の使い分け
As if ~ing と as if to ~では、意味やニュアンスが明らかに異なるのですが、日本語で同じ訳になることが多くしばしば学習者が混乱する原因になっています。 使い分けについては、まず以下のように考えてみてください。
– as if ~ing : 意図的でなく自然に起こる現象(as ifがlikeに置き換えられるケース) – as if to ~ : 何かを意識して行っている場合 |
実際のシーンで考えてみましょう。学校の教室でいじめがあり、先生が「いじめたのは誰か?」とクラスの子供たちを問い詰めています。実際にいじめを行った男の子はドキドキして下を向いています。このシーンでは以下のようなセンテンスが考えられます。
He looked at the floor as if (he was) showing discomfort.
彼は戸惑っているかのように床を見つめた。
※ “he was”は省略可能です。
ここで、as if ~ingを使う理由は、いじめを行った男の子は意識的にうつむいているのではなく、罪悪感と緊張で自然にうつむいてしまっていると考えられるためです。
では、以下のようにas if to ~を使うと、意味はどう変わるでしょうか?
He looked at the floor as if to show discomfort.
彼は戸惑っているように(みせるために)床を見つめた。
彼は、自然にうつむいたのではなく、意識して床を見つめた、というニュアンスになります。つまり、もしこの男の子が役者であり、ここでは演技をしているという場合にはas if to ~の文が当てはまります。ですが、ここではそうではないと考えられるため、as if ~ingの方が適切です。
※ 自然か、意図的かは第三者では分からないときも多いと思います。このため、100%どちらが正解かということはできませんし、実際どちらも当てはまるケースもあります。つまり、文章を書くときには、「自分がどちらのニュアンスを読み手に伝えたいのか」という視点で判断する必要があります。理解を深めるために、以下の練習問題をやってみてください。 |
いくつかの練習問題をやってみましょう。日本語の意味において(A) (B)どちらが適切であるか考えてみてください。
問題1.女の子が、怪物から逃げきたかのように反射的に部屋から飛び出しました。
(A) The girl ran out of the room as if (she was) escaping from a monster.
(B) The girl ran out of the room as if to escape from a monster.
正解 : A 女の子は(意図的ではなく)反射的に逃げているように見えている = like she was escaping from a monster 状況であるため、as if ~ingの利用が適しています。 |
問題2.彼は、自分の愛を証明するように、できる限り高価な指輪を彼女のために買いました。
(A) He bought her the most expensive ring he could as if (he was) proving his love for her.
(B) He bought her the most expensive ring he could as if to prove his love for her.
正解 : B 彼は、彼女に自分の愛を証明するために、意図的に高価な指輪を買ったと考えられます。つまり、ここではas if to ~の方が適しています。 |
問題3.運転手は不満を示すように、クラクションを鳴らし続けました。
(A) The driver beeped the horn continuously as if (she was) showing her frustration.
(B) The driver beeped the horn continuously as if to show her frustration.
正解 : (A)(B)どちらも考えられます。この問題はちょっとひっかけ問題でした。単純に考えると、運転手はイライラして不満を示すためにクラクションを押し続けた(B) の(as if to show)が正しいように思われます。一方、意識的な行動ではなく、単にそう見えている(A) の(as if showing= like showing) ケースも考えられます。 |
as if S + V – 時制の使い分け
次に、学習者からよく質問のある、as if + S + V 構文においてのS+V部分の時制の使い方を説明します。
基本的に以下のルールで考えてみてください。
– 「実際はどうかわからない」ときは現在形 – 「実際にはそうではない」という確信がある場合は過去形 |
具体的なシーンで確認してみましょう。いつもスーツをパリッと着こなしている人を想像してみてください。
もし、あなたが、その人が実際には裕福ではないと知っている場合(裕福ではないが、裕福に見せるためにスーツを着ている)場合、以下のように過去形を使います。
He is always wearing a suit as if he was/were rich.
彼は、まるで裕福であるかのように、いつもスーツを着ています。
一方、もしあなたが、彼が裕福であるかどうか知らないというときには、現在形を使います。
He is always wearing a suit as if he is rich.
彼は、裕福であるように、いつもスーツを着ています。
問題にチャレンジしてみましょう。
問題4.あなたは強豪のプロサッカーチームが、弱小チームと対戦している試合を観戦しています。20分後、5対0と差が付きました。それでも負けているチームはあきらめずに全力で戦い続けています。この場面では(A)(B)どちらのセンテンスがより適していると思いますか?
(A) They are playing as if they don’t care.
(B) They are playing as if they didn’t care.
正解 : (B) 「彼らは(点差を)気に留めていないかのようにプレーしている。」という意味です。 一見、(A)も一見正しく見えるのですが、弱小チームもプロチームであるのであれば、(実際のところはわからなくても)点差を気にかけているはずです。つまり、この場面では「実際にはそうではないがそう見えている」という状況から(B)の過去形が適しているということになります。 |
以上、as if を使った構文について解説しました。最初は難しく感じるかもしれませんが使っていくうちに分かってくると思います。ぜひ実際のライティングで使ってください。