英語の句動詞(Phrasal Verbs)とは、「動詞+副詞」または「動詞+(副詞)+前置詞」のペアでまとまって1つの動詞のように機能する定型 のフレーズのことです。 ネイティブスピーカーによっては、Multi-word verbsという言葉を使う人もいます。
例えば、buyという単語の意味はほとんどの人が知っていると思いますが、ネイティブスピーカーの会話をよく聞いてみると、buy in(買い込む)、buy out(買い取る) buy up(買い占める、買収する)など細かい意味合いにより句動詞を使いわけていることがわかります。
句動詞は日常会話において大変便利なものです。しかし「句動詞をフォーマルライティングやアカデミックエッセイで使って大丈夫ですか?」という質問を英語便メンバーからいただくことがよくあります。当記事では、句動詞(Phrasal Verbs)とフォーマルライティングについて簡単に説明します。
当ブログ記事には、2019/7~8月開催中の英語便イベント”Phrasal Verbsキーワードチャレンジ”のヒントは含まれておりません。 |
句動詞のフォーマル・インフォーマル
句動詞は、全体的には友人とのカジュアルな会話や一般的なライティングで使われることが多いと思います。イディオムやスラング同様、句動詞を使った方が自然に聞こえるという理由から、会話やメッセージでより多く使われています。
しかし、句動詞をフォーマルライティングに使ってはいけないのか?というとそうではありません。結論からいうと、フォーマルライティングに適した句動詞と、適していない句動詞があります。フォーマルライティングに適した句動詞は、技術論文、政府の文書などにもよく使われています。
フォーマルライティングで使われる句動詞
ここでご紹介するいくつかの句動詞は、フォーマルライティングで使えるというよりは、フォーマルライティングのみで使われている句動詞です。これらの句動詞は、文章全体がフォーマル、またはアカデミックトーンであることが通常です。
adhere to ~ ~に付着する / pertain to ~ ~に関連する / ascribe to ~ ~に属するものとみなす / emanate from ~ ~から生じる / depart from ~ ~から離れる / engage in ~ ~に従事する |
フォーマルライティングで使うべきでない句動詞
句動詞の中には、スラングだったり、あきらかに口語でのみ使われるものもあります。以下のいくつかの例は口語ではよく使われていても、フォーマルライティングでは使うべきでないものです。
beaver away 長時間働く/ belt out 大声で歌う / harp on ~ ~をくどくど繰り返す / pig out 大食いする |
フォーマル、インフォーマルの区別を覚えなくても、上記の句動詞は日本語訳からカジュアル表現である想像がつくと思います。また、辞書によっては[口語][くだけた言い方]といった注釈がついている場合もありますので利用時には注意してください。
句動詞 vs 1ワード動詞
ご存知のように、ほとんどの句動詞には近い意味を持つ1ワードの動詞が存在します。そして、その中の多くのケースでは、句動詞より1ワード動詞を使う方がよりフォーマルであると考えられています。たとえば以下の動詞と句動詞のペアでは、左側の動詞の方がよりフォーマルライティングに適していると考えられています。
constitute / make up 構成する calculate / work out 算出する discover / find out 発見する discuss / talk about 討論する emerge / come out 現れる increase / go up 増加する organize / set up 組み立てる・まとめる propose / put forward 提案する |
しかしながら、実際には1ワードの動詞より、句動詞の方がフォーマルライティングに適していることもあります。たとえばdo / carry out のケースなどです。英語便の添削でもResearchers did a survey into ~という記載を、よりフォーマルなResearchers carried out a survey into ~ という記載へ訂正するケースなどがみられます。つまり、ルールではなく単語の意味や利用シーンにより選択が変わることもあるのです。
まとめ
句動詞には、口語、カジュアルな表現が多いためフォーマルライティングで使うときは、注意が必要です。しかし、句動詞はフォーマルライティングで使えないということはなく、フォーマルライティングでよく使われる句動詞、また、句動詞の方が適しているというものもあります。辞書の説明をよく読むこと、また句動詞の利用にチャレンジして添削にも提出してみてください。