雪が降って凍えるほど寒い日に使うフレーズに It’s freezing. 「すごく寒いね」というものがあります。しかし、 It’s very freezing. という文は誤りです。freezingはveryでは修飾できない単語です。
「なぜそうなのか?」ということを考えるためには、文法用語を使って説明する必要があります。言葉は難しいですが、実は考え方はシンプルです。以下具体的に見ていきましょう。
gradableとnon-gradable形容詞の見分け方
形容詞をveryで修飾できるかどうか判断するためには、その形容詞がgradable(程度が変えられる)なのか、non-gradable(程度が変えられない)のかを見極める必要があります。
例としてhot と boilingという2つの単語を見てみましょう。両方とも形容詞ですが、それぞれ
– hot「暑い」
– boilingは「ひどく暑い」「うだるような」
という意味があります。
左の図は数式ではなく、両方の言葉の持つ「暑さの加減」と「強さ」のイメージをX軸、Y軸で表したものです。
単語hotは「暑い」という意味ですが、副詞との組み合わせで、quite hot(相当暑い), fairly hot(極めて暑い), really hot(本当に暑い), very hot(すごく暑い), extremely hot(極度に暑い)と様々なタイプの「暑さ」に度合いを変えることができます。このような形容詞をgradable(程度が変えられる)形容詞といいます。 一方、boilingは1単語ですでに「ひどく暑い」=「相当暑い」= very/extremely hotという意味を持っているため1語でポジションが決まっています。このように1語ですでに度合いが定まっている形容詞を、non-gradable(程度が変えられない)形容詞といいます。 |
そして、「gradable(程度が変えられる)形容詞はveryで修飾することができるが、non-gradable(程度が変えられない)形容詞は、veryで修飾することができない」というルールがあります。 つまり、very hot は正しく、very boilingは正しくありません。なぜならば、boiling はすでにvery hotの意味を持っているからです。
gradableとnon-gradable形容詞と副詞の組み合わせ方
上記で、なぜvery boilingが正しくないのかを説明しました。実は、veryだけではなくquite boiling, extremely boilingという記載も正しくありません。上記の説明と同様に、形容詞と副詞の組み合わせにはルールがあります。
形容詞だけではなく、副詞にもgradable(程度が変えられる) とnon-gradable(程度が変えられない)の分類があります。そして組み合わせには以下のルールがあります。
gradable adverbs + gradable adjectives
non-gradable adverbs + non-gradable adjectives
実際の組み合わせ例を見てみましょう。
gradable adverbs (程度が変えられる副詞) |
gradable adjectives (程度が変えられる形容詞) |
(例) fairly, quite, very, extremely | (例)hot, big, interested, difficult, tired |
non-gradable adverbs (程度が変えられない副詞) |
non-gradable adjectives (程度が変えられない形容詞) |
(例)absolutely, really, nearly, totally | (例) boiling, fascinated, freezing, impossible, terrifying, |
ここで最初に出てきた、freezingの例をみてみましょう。freezingはnon-gradable adjectivesなので、veryのようなgradable adverbsとは組み合わせられません。修飾にはnon-gradable adverbsを使います。
(添削例)very freezing => very completely freezing
他にもいくつかの添削例を見てみましょう。
very impossible => very utterly impossible
very terrified => very extremely terrified
very excellent => very absolutely excellent
語の組み合わせには例外もあります。中にはgradableとnon-gradableが組み合わせて使われるケースもあります。しかし、一般的には上記の組み合わせをルールとしています。文法で考えると難しいと思いますが、感性でとらえるとさほど難しくないと思います。
gradable、non-gradableの説明は、英語便の書籍「ネイティブ添削で学ぶ英文ライテネイティング」でも解説されています。ぜひ併せて参考にしてみてください。