「人」を表す英単語では、多くの場合、単数のperson、複数のpeopleが使われています。しかし特別な用法や例外があります。英語便メンバーから「電車内でpersonsを使った英訳を見ましたが誤りですか?」「英語便のAcademic Writingコースのテキストでpeoplesが使われていますが誤植ではないですか?」といったご質問が頻繁に寄せられますが、persons, peoplesは文法誤りではなく実際に使われているフォームです。以下、人を表すperson, persons, people, peoples それぞれの意味と使われ方を見ていきましょう。
Person – 1人の人間、個人、個人の特徴、個人の身体
personは、「1人の人、個人」を示します。また、「個人の特徴(性格や見た目など)」という意味合いでも使われます。いくつかの例を見てみましょう。
She is a person of astonishing energy.
彼女は驚くほどのエネルギーがある人です。
The entrance fee for the museum is $10.00 per person.
美術館への入場料は1人10ドルです。
また、例外的な用法ですが、犯罪や法的文書の中では、individual body =「個人の身体」という意味で使われることがあります。
A gun was found on her person, and she was immediately arrested.
拳銃が彼女の体から見つかり、直ちに逮捕されました。
※ ここでのon her personは、 “on her body”と同じ意味です。法的文書や警察の報告で上記のような利用が良く見られます。
Persons – 法的、公的文書での「人々」
personsは文法エラーではありません。しかし、古風な言い方で日常生活で使われることはあまりなく、大抵の場合は「人々=people」が使われています。しかし法の執行や政府の通達を含む法的・公的文書ではpersonsが通常使われています。
このように考えてみてください。例えば法の執行や刑罰は、人のグループに対して適用されることはほとんどないと思います。つまり、複数の人が存在したとしても、個々の人は別々に取り扱われるという意味です。 |
以下、Personsを使った例文をご紹介します。
There are two persons of interest under investigation for the murder.
2人の被疑者が殺人容疑で取り調べ中である。
Every year, over a hundred new missing persons cases are reported in this city.
この市では、毎年100人以上の新しい失踪者のケースが報告されています。
Visas will be expedited for refugees and displaced persons (those who have been forced to leave their homes, especially because of war or a natural disaster such as an earthquake, flood, etc.).
ビザは、難民、避難民(戦争や地震、洪水などで災害で家を離れた人々)に対して直ちに発行されます。
以下の様に、法的な意味はなくても、政府からの公文書で使われているケースもあります。
Report suspicious persons and vehicles to local law enforcement officials.
疑わしい人や車について、法執行機関(警察)に通報してください。
また、ホテルのエレベーターでも以下のような注意書きを見ることがあります。
No more than 15 persons in the elevator at any one time.
このエレベーターには1度に15人以上乗れません。
People -人々、 人の集合、市民、国民など
peopleはほとんどのケースで、「人々」という意味の英単語、personの複数形として使われます。意味は広く、2~3人から1つの国の人口すべてまでを指します。例文を見てみましょう。
My neighbors are nice people.
近所の人たちはみんないい人です。
Young people carry their mobile phones everywhere.
若い人々はどこへでも携帯を持っていきます。
The prime minster’s economic reforms no longer have the support of the people.
首相の経済改革は、すでに国民の支援を亡くしている
Peoples – 複数民族のグループ
Peoplesは、これまで紹介してきた英単語の中で、利用頻度は最も少ないと思います。Peoplesは、「複数民族のグループ」を意味するときのみ使われます。例文を見てみましょう。
The native peoples of Canada カナダの先住民
In 1991, Australia began a formal process of reconciliation with indigenous peoples.
1991年、オーストラリアは、先住民族との正式な和解のプロセスを開始した。
カナダの一般の人々を表すときはpeoplesではなく、peopleを使います。(例)Speaking generally, Canadian people love ice hockey. the peoples of Canadaは、カナダの先住民、ヨーロッパからの移民などを含む、複数のルーツの人々の集合を意味しています。
もし、Japanese people に対し、the peoples of Japanという記載が使われている場合、アイヌの人々や琉球民族の人々など「複数の民族をルーツとする日本の人々」を意味していることになります。
まとめ
簡単にまとめますと一般用法では、personの複数形はpeople、法的、公的文書ではpersonsが使われ、peoplesは複数民族を意味する場合のみ使われます。
以上を抑えておけば、公文書や歴史文献を見たときにも混乱することはないと思います。