ロバート・ヒルキ氏インタビュー 1.英語と異文化コミュニケーション

2017年4月5日 ロバート・ヒルキ氏と、ネイティブ添削で学ぶ英文ライティング「英語便」の共著出版企画のひとつとして、大手町でロバート・ヒルキ氏に、「英語と異文化コミュニケーション」「グローバル社会での世界の英語の変化」「日本人の英語学習」などについて、話をお伺いしました。異文化コミュニケーションのスペシャリストとして、またTOEICトレーナーとして毎日世界中を飛び回る中で感じること、また世界と比べた日本人や日本の英語学習について感じたことを率直に語っていただきました。

=> 当インタビューの英文スクリプトがこちらからご覧いただけます。

ロバート・ヒルキ(Robert Hilke)

企業研修トレーナー。元国際基督教大学専任講師。 University of California 大学院修了(言語学)。異文 化研修およびTOEIC, TOEFL, GREなど、テスト対策 のエキスパート。各試験対策講座を国際的な大企業向け に年間約250日行なう。TOEIC 関連セミナーでの教授 歴は30年近くにおよぶ。「TOEIC 200点アップ請負 人」として頻繁にメディアに登場、TOEIC対策の第一 人者として、多くの受験者の信頼を集めている。著書に、 『TOEIC®テスト完全教本 新形式問題対応』(デイビッ ド・セインと共著、研究社)のほか、「頂上制覇 TOEIC® テスト 究極の技テクニック術」シリーズ全 6 巻(研究社)、『新TOEIC® テスト 直前の技術』『 新 TOEIC® テスト「 直前」模試3回分』(アルク)など多数。

1. 英語と異文化コミュニケーション


Q: 日本の英語学習者はあなたのことを「TOEICスペシャリスト」と認識していると思いますが、あなたは実際には、「異文化コミュニケーション」のスペシャリストでもありますね? あなたの活動とバックグランドをもう少し教えていただけますか?

実際私には2つの肩書があります。一つはTOEICのトレーナー、そして著者、またもう一つは異文化コミュニケーションのスペシャリストです。どちらも私にとって大変重要なものです。実はこの2つは密接に関係しています。今日の多様なグローバル社会で成功するためには、3つの重要な柱があると思います。はじめの1つはもちろん「英語」です。英語は世界中のビジネスで使われている言語です。 異なるバックグラウンドから集まる人々が交流するために、最も使われている言語です。私は英語のネイティブスピーカーなので、私たちの読者や英語学習者のように英語学習に苦しむことがありません。ある意味不平等ですね。しかし、公平、不公平にかかわらず、英語からは逃れられません。どこへ行っても本当に必要なものです。

私は、TOEICと英語学習は互いに手を取り合ってすすむべきものだと思っています。世界中の多くの人が、TOEICと英語学習はある意味別なもの、あるいは排他的だと考えていることは知っていますが、私は全く違う意見を持っています。まずはじめに、私は、TOEICと英語学習は共生するものと考えています。あなたの英語が上達すれば、TOEICのスコアが上がります。反対に、TOEICを学習すればスコアが上がり自信がつきます。そして、自信がつくと、もっと英語を使ってみようという気持ちになると思います。そして、人々と英語で交流すると、相手から反応が返ってくることがさらに英語学習を続けるモチベーションにつながり、そしてTOEICのスコアが更に伸びる。「たまご」と「にわとり」の好循環が産まれるわけです。

しかし、もし「英語が流暢であること」だけだったらどうでしょうか? 日本企業がカリフォルニア州へ進出したとします。海外で学び、ビーチでサーフィンを楽しみ、生活をエンジョイしている日本人を見つけるかもしれません。その人たちは英語をパーフェクトに話すかもしれません。しかし、彼らは今日のビジネス世界で通用するスキルを持っているでしょうか? 持っている人もれば、いない人もいるでしょう。単に「英語が堪能」ということでは、コミュニケーションが成功するとは限りません。もちろん、ビジネススキルも重要です。もしあなたがTOEIC 900点以上、または990点満点のスコアを持っていたとしても、またはあなたが、製造業の会社で何かの技能検定で1級を持っていたとしても、あなたが人々のリーダーになれなければ成功はできません。つまり、グローバル社会で成功する人は、言語能力、ビジネススキル、そして異文化コミュニケーションの認識を持ち合わせているということになるわけです。

私が「異文化コミュニケーション」を日本で教え始めたのは何年も前のことです。実は、私が異文化コミュニケーションに出会ったのは、日本にくるかなり前のことです。私はアメリカの軍隊にかなり長い期間在籍していました。少々驚かれるかもしれませんが、アメリカの軍隊はかなり(異文化コミュニケーションに関して)革新的な機関です。理由の1つとしては、軍隊は命令を出し、それに従わなくてはなりません。選択肢はないのです。そして、1070年代に、アメリカ軍隊は少数派の雇用、特にアフリカ系アメリカ人の雇用を強く推し進めます。そして、私は、その仲間たちへ深く異文化コミュニケーションを理解してもらうためのトレーナーとなったのです。軍隊にいてアフリカ系アメリカ人とヨーロッパ系、アジア系のラテンたちの間の異文化コミュニケーションのようなものを教えていたのです。これが始まりでした。

そして最初に日本に来た時には、 私はすでにドイツに数年住んでいました。アルゼンチンでもある期間過ごしました。大学院生のときはメキシコでアルバイトをしていました。正直、私は自分で異文化コミュニケーションをよく理解していると思っていました。しかし日本に来たときには、昭和の時代ですが、学ばなければならないことが多くて驚かされました。日本は私がそれまで経験してきたことと、かなり違っていたのです。それまで私は自分でよく知っていると思っていたのですが、この出来事により勉強するようになりました。多くの本を読みました。国際基督教大学で教えていたときは、私自身の体験を積み重ねました。毎日、生徒たちとの異文化コミュニケーションの中にいたわけです。少しずついろいろな話を積み重ねていきました。そして1980年代の中旬に私のキャリアに大きな変化が訪れます。スウェーデンのGadeliusというトレーニングの会社が日本にありました。1907年のことだったと思います。日露戦争の直後にはじめて日本に来たヨーロッパの会社だと思います。彼らは事業を立ち上げることを決めます。その事業というのが異文化コミュニケーションのトレーニングを提供することだったのです。幸運にもその事業に携われたわけです。その小さな組織は後に INTEC Japanとなります。INTEC Japanを25年以上という長い期間サポートしました。そして、その組織はLink and Motivationに購入されました。私は、現在、Link Global Solutionで働いています。

私たちは、世界中でビジネスを行っています。 もちろん日本、そして様々な国へ出向きます。2017年はすでにシンガポール、メキシコ、アメリカ、ドイツ、スイス、チェコ共和国ヘ行きました。翌月はドイツへ行きます。メッセージを届けるために世界中に出向くのです。

異文化コミュミケーションと言語はともに、持っているビジネススキルをサポートします。 そして成功のカギは、スキルをどうすれば最大限に適用できるかということです。
私はとても恵まれており、仕事を愛しています。

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